雫の手を引く力を強くして、廊下を猛ダッシュで駆け抜ける。
そのままのスピードで、曲がり角に差し掛かった瞬間。
『いっ……』
誰かとぶつかりました。
勢いで倒れた私を心配する雫をよそに、ぶつかった人に謝るため顔を上げる。
『すいませっ……⁉︎』
『……てめぇ…
何で廊下走ってんだよ。
回りぐらいみろよ』
顔を上げた先にいたのは、鬼のような顔をした学園王子。
『……か、和希君⁇』
『あ? 』
やっぱ本人ですよね⁉︎
でもっ、和希君はこんなに怖くないし……
爽やかな笑顔を浮かべてた、よね?
ヤッパリあの笑顔は偽物ですか……⁉︎
『お前……はぁ…
たく。授業遅れる。
そこどいてくんね?』
慌てて立ち上がりその場を譲る。
