sweetlove

しばらくして、少し落ち着いた頃に、

「みずきちゃん、大丈夫?」と出てきてくれた岬さん。

「…岬先輩…」と私が言うと、優しく抱き締めてくれた。

「…キミ、みずきちゃんの友達?」と岬さんが言う。

「はい、みよりです。先輩は知り合いなんですか?」とみよりが聞くと、

「同中で、バスケ部で、一緒だったんだ。みずきちゃんはウチに来ないと思ってた。他校から内定もらってたから…。けど、ウチ来たとき驚いたんだよ…」と岬さんは言った。

みよりが不思議そうな顔をしてた。

「まぁ、とりあえず、保健室にでも行こうか…」と岬さんは言って私を立たせてくれた。

そして、私はみよりと岬先輩に連れられて保健室に来た。

涼のことを思い出した。

今の私を見たらどんな顔するんだろ…。

相変わらず鼻で笑うのかな?

バカじゃね?だっさって罵るのかな…

てか、アイツはすでに、レギュラーなのかな?

悔しい…辛い。アイツに負けることだけは…。

「ムリしなくていいからね。ゆっくり戻してこ」と岬さんは頭を撫でてくれた。

岬さんにそんなことされると、嬉しすぎて顔が熱くなっちゃう。

「よし、決めた!私、バスケ部入る!!」とみよりが言い出した。

えっ…今なんて…

「私、元空手部だから、バスケ経験ないけど…みずきがまた出来るって信じてさ、バスケ部入るよ!」とみよりは言ったのだった。

ー私のために…?

ありがとうとみよりに言うと、「いつか、一緒にバスケしたいから」と言ってくれた。

「そうか、なら、みよりちゃん?一緒に体育館に行こうか。みずきちゃんはここで待ってて。後で迎えに来るから…」と岬さんは言ってみよりと去っていった。

辛くてならない。何でよ!私のバカ。

今は自分ばかり責めてる。

泣きそうだった。あんなにもバスケ見て辛いなんて…。

「大丈夫ですか?」と保険医が声をかけてくれた。

「…」無言の私に優しく背中をさすってくれた。

しばらくして、私は立ち上がった。

自分でもよくわからなかった。

それでもただ体が動いていて…気づけば、体育館に居た。

頭は痛むし、完治したはずの腕も痛む。

それでも、私は耐えながら練習を見ていた。

時々吐きそうになって、体育館を出たりもした。

けど…やっぱり体はバスケをしたがってる。

どーすればいいの?

私は体育館の隅で頭をおさえながら、涙を流していた。

練習を終えたのか?しばらくして、岬さんとみよりがかけてきてくれた。

「ムリすんなと言ったのに…」と岬さんには怒られた。

でも、体が勝手に…そんなの、納得されないの、わかってたよ?

けど…ごめんなさい。

女バスの人らも迷惑そうに私を見ていた。

やっぱり、迷惑だよね?こんなやつ…。

苦しくなってまた涙が溢れた。

この日、私と岬さん、みよりは一緒に帰った。