sweetlove

文化祭当日ー

かなりの盛況を見せる我が校伝統の文化祭。

大いに盛り上がって、私と拓斗さんも楽しく過ごした。

みよりとダイチさんは相変わらずのいちゃつきっぷりで周りをドン引きさせる。

そんなに二人を羨ましくも見つめている、私。

それに気づいた、拓斗さんは私に、彼女らしく接してくれる。

それがすごく嬉しかった。

「はぁぁ、羨ましいね。アイツら!俺にもあんな風にお互いを想いあえる恋人いつか現れるのかな…」拓斗さんは独り言のように呟いた。

「もちろんですよ。私が保証します!拓斗さんほどのいい男、いませんよ。もし、現れなかったら私がもらってあげますよ」と私が言うと、

「ありがとう。いつかきっと幸せになって、みずきを解放するから。そしたらちゃんと幸せになって」そう言って拓斗さんは笑ってくれた。

拓斗さんは元気になったし、新たな目標を見つけて走り出した。

涼との関係も修復しつつあると聞いた。

私と岬さんの関係はと言うと…先輩と後輩のままだけど。

良かったのかもしれない。拓斗さんと一緒になれて。

心から最近そう思う。

拓斗さんに心が揺らぎ始めてる自分に少し複雑さを覚えるが。

私は話をそらすように聞いてみた。

「拓斗さんの夢はなんですか?」って。

しばらく考えたふりした拓斗さんは私に言った。

「フルマラソンの完走」と。

シンプルで意外な回答だった。

リハビリをしても、後遺症は残る。バスケはもう出来る体じゃない。

それでも走るのは諦めたくないと?

走るのは好きだから?

やっぱりカッコいい。

「カッコいい!やっぱり大好き‼拓斗さんのそういうところ…」

気づけば私はそう口走る。

ありがとうと優しく頭を撫でてくれた。

私たちは照れながら笑った。