sweetlove

入学式の日ー

私はまだギプスをしていた。

あの時の傷がまだ痛む。時々、フラッシュバックして苦しいの。

もう、試合に出たくないくらい。

あんなにバスケ大好きだったのに…。

もう、出来ないのかな。

はぁぁ、またひとつ、ため息をついた。

入学式を終え、教室に向かった。

私は3組だった。周りは知らない顔ばかり…。

仲良くなれるかな…とか、ちゃんとやってけるかなとかそんな不安ばかり。

担任の挨拶が終わり、教科書とか渡されたんだけど…鞄には入れられなかった。

まあ、終わってからお母さんが入れてくれたんだけど。

その日はそのままお母さんと一緒に帰った。

翌日から、私は教科書を鞄に詰めて、学校向いて歩き始めた。

鞄がやけに重い。キツいなぁ。

歩くスピードが遅くなる。

しばらく歩いたところである人に出逢った。

「…河野さん?」と声をかけられて振り向いた。

そこにはなんと、中学時代憧れていたバスケ部の先輩、 深山 岬さんがいた。

ってえぇ?何で…先輩がいるの?

「やっぱり、みずきちゃんだよね?」といいながら横を歩いてくれる先輩に私はドキドキしている。

「おはようございます」と言えば、

「鞄持つよ。大丈夫?」と言ってくれた。

断ろうとしたのに…ナゼか私の腕からすでに鞄は奪われていた。