「やっぱり、みずきだね。一緒に出来て良かった…」とみよりも言ってくれた。

体育館に来ていた観客も散っていった。

けど…一人近づいてくる人物がいた。

『お疲れさま』そう声をかけられて振り向くと、そこには涼がいた。

えっ?何で涼いんの…?!

「先輩、お久しぶりです。少し話せませんか?」と岬さんのところに行った涼。

そして二人は話すために体育館を出ていった。

私はひとつ、息を吐いた。

「お疲れさま。みずきちゃん。やっぱり本物やね…。想像以上…」と副キャプテンは声をかけてくれた。

「ありがとうございます。けど…まだまだ修整するとこがたくさんありますね。次の試合に向けて…少しずつ改善していけるように頑張ります!!」と私は言った。

「えらい、えらい。努力家なんだね~」そういって私の頭を撫でる大きな手。

私もついつい照れてしまう。

多分この人も岬さんと同じくらいモテるはず…。

私、もしかしたら…岬さんの取り巻き女子だけじゃなく、副キャプテンの取り巻きにもいじめられるかもしれない。

そう思うと、思わず身震いしてしまった。

「大丈夫?何考えたの?」と顔を覗き込まれた。と言っても、上からだけど。

「あーいえ、えっと…」と私は上手く言葉が出てこず、ごまかそうとしたんだけど…見透かされた。

「大丈夫!俺が絶対守るからー」って。

やーん、恥ずかしい。てか、かっこいい。

キラキラしてて眩しいなぁ~

「どう?見惚れたりした?」なんて。やっぱりちょっとチャラめ。

「ありがとうございます」と、私は笑顔で返した。

そうしてる間に、岬さんが戻って来た。

涼は…いない?!

「おかえりなさい。先輩、涼は?」と私が言うと…

「今日は帰ったよ。みずきの頑張ってる姿見れたからって。今度ちゃんと会いに来るってよ」と岬さんは言った。

なんだ、帰っちゃったんだ…。

「そんな残念そうな顔すんなよな!」と岬さんは言って私の頭を撫でた。

「お前の話ばっかだったぞ」と岬先輩は言った。

何で…私のこと、嫌いなんじゃないの?

「嫌いだとか思ってんのか?その逆だ。どちらかと言うとな」と岬さんは言った。

意味がわからなかった。けど…

「アイツ、お前だけには嫌われたくないってよ…。アイツ、宣言しやがった。お前の恋人だと話した俺に。ずっとライバルでいてくれって…」と岬さんは言うの。

こんな言葉で私は理解した。

そっか…。私、涼に嫌われてたわけじゃないんだね…。

そう思うと、ナゼか少しホッとした。

「さて、帰ろうか…」と岬さんに言われて、私たちは手を繋いで下校した。