後半戦ー

そう簡単にはシュートを決めさせてくれなかった。

そしてしばらく、両者の決まらない攻防が続いた後、まさかの、最終兵器を投入してきた。

といっても、メンバーチェンジだったんだけど…。

皆の顔色が変わったのを見て、何となく察したの。

だから、聞いてみた、岬さんに。

「ねぇ、先輩今入った人誰?」って。

そしたら岬さんは顔をしかめた。

「…アイツは…化けもんだよ。あの名門のあそこで副キャプテンをやってるエース、乃木坂 徹。このタイミングで出してきたか。最初から勝たせる気無いな」と岬さんは言った。

「…そうですか…けどまだわからないじゃないですか?諦めるの早いんじゃ…」と私が言うと、

「みずき、その考え方が甘いよ。ヤツは桁違いだ。体力、スピードなど全てにおいてめちゃめちゃ強い。反則も平気で犯してくる。フリースローも完璧…手段を選ばない勝つことだけにしか興味のないやつだ。負けでもしたら大暴れして大変なんだぞ?」と岬さんは言った。

そうなんだ…そんな凄い人なんだ…

「ましてや、コートに涼がいるじゃねぇか。勝ち目ないよ。あのコンビには誰も逆らえないし、勝てやしない…」と岬さんは付け足した。

そんな凄いプレイヤーなんだ…。

けど…なんか可愛そうだね。

だって勝つことにしか興味ないんでしょ?

それって寂しいよね。

そう私が言うと、「ああ」とだけ返ってきた。

確かに岬さんの言う通り、空気さえも変わってる。

歯がたたなさそうだった。

向こうは団結し始めてるし、怖いものなしって感じだった。

負けるかもしれない…。でも諦めて欲しくない…。

私の横で聞いてた、女バスのメンバーとみよりも応援はしているが半分諦めてるように見えた。

涼が活躍してるのはカッコいいって思うけど…そんなチーム相手にだからこそ、勝ってほしいと私は思っている。

そして私は目を凝らしてコートに目を戻した。

どこか隙はあるはず…。弱点は…?

そこを狙えば反撃出来るはず…。

中々、見つけられずにいた。

そしたら、ウチのある選手が一か八かの大勝負に出た。

スリーポイントを狙える距離からの連続シュートを始めた。

皆も続く。リバウンドもちゃんと取っている。

チャンスかもしれない。

ロングパスとスリーポイントをうまく使い分けながら…何とか差を縮めていっている。

大差で開いていた差もほとんど無くなった。

「皆、相手が名門とか、関係無いわよ~」と私が叫ぶと、私は向こうの応援団からバッシングを浴びる。

それでも私は続けた。

「頑張れ~勝てるよ!」って。

差は縮まったけど…負けてはいるのに。