鬼城永完

 夜中に村に着いた。でも私は、寝ていた為気付かなかった。目が覚めた時には朝になっていた。
「うぅ?」
「…起きたか?」
「…ひゃっ!?あああ…ああ亜沙飛!?」
私は驚きを隠せず飛び起きた。
「…そこまで驚かなくたって」
「ってことはここは…」
「ああ。村だ」
私の左側には窓があり、そこから村の風景を見る。
「綺麗だね」
「そうだなぁ。あんな所よりもずっと良い」
「え?」
「俺はあんな所嫌いだね」
「そ…そう」
「それより目、覚めたんだしあそこにある服に着替えなよ。俺は後ろ向いてるから…」
「う…うん」
私は言われるがままに服の元に行く。
「瑞葉様!起きられましたかっ!」
「え…あ、はい」
「お母様達はお仕度なさっているので、私目か亜沙飛様にお申し付けを…。あ…亜沙飛様!」
「鬱陶しいな…何」
「お着替え手伝って上げなされ」
「面倒だな…。ん…確かに1人じゃ着れんわ。袴くらい手伝うから他さっさと着ろ…」
「う、うん」
その後私は巫女着を着た。
「瑞葉…」
「何?」
「………この地を良いものに変えて行こう…な」
亜沙飛の横顔を見ると少し照れくさそうに言った。
「そうだね…?」
「今…この土地は泣いている。実里誇によって閉ざされたこの村…土地が。俺達で呪いを解いて悲劇を終わらそう。…プロポーズにはいい話だろ…」
「プロポーズ…?……ふぇっ!?えっ?…え!!?」
「驚き過ぎ……マジ見てられねーわ…昔から鬼城と神道についてはクソジジイに叩き込まれているし…。クラスメイトの女子は全く興味無かった。だが。俺はこの運命を背負っていなくたって…お前の事は好きだったと思う……」
「………そんな事言われたの…始めてだよ…」
「…んあ?何この猫…」
亜沙飛の足元には白猫がいた。
「猫?…あ…白虎(ハク)…」
「話遮ったか?それともプロポーズ上手くいったか…ぷぷっ」
「このクソ猫が…」
「小僧、書物室に連れていってくれ」
「あ?何で俺が…」
「言葉も治さんとなぁ…。まあ、ミーは瑞葉の言う通り白虎だ。昔に呪術のせいでこの姿になった。その副作用で、不老不死よ。哀れだと思わんか小僧?」
「副作用とは…笑わせるね。んで、何で書物室よ…俺は連れて行かねーからな」
「理由を聞いたクセに何ぉ…!」
「ま…まあまあ」
「…まてよ……明日か!!」
「な…何!亜沙飛…」
「瑞葉…明日が俺達の大事な日だ…」
「ふぇ…?」
「お前…忘れたのか?…明日、お前の…」
「瑞葉様、亜沙飛様…」
「晶永さん?」
「こちらにお越しください…」
「…タイミングの悪い奴め」
「何か言った?」
「べつに」
「じゃあ行こう?」
私は亜沙飛に手を差し伸べ、亜沙飛は私の手を掴む。
「(なんか…照れるなぁ…。だって亜沙飛…恋人繋ぎなんだもん……やばい…やばいよ。心臓が……)」
「瑞葉どうかした?」
「え!?い、いや!何も!!」
「めっちゃ焦ってんだけど…。まあ、別にいいけど」
「ふぅ…」
「もう仲が良いのね」