風呂から出た俺は早速さっき届いたカットソーを着てみた。


中古品なのに思っていた以上に状態が良く、サイズもバッチリだったので、大満足。


ついさっきまで嫌な事があったけど、完全に気が晴れた。恐怖心もすっかり無くなっていた。


実は俺は今よりもっと若い時に服好きが高じて雑誌などに頻繁に出ていた。


それもあってストーカー被害に遭う事は今回が初めてでは無かった。 

ある日、雑誌の撮影の帰り道で突然呼び止められて、『私はこんなにあなたを想っています。』って言われて俺の写真の切り抜きで作られたアルバムを見せられた事があった。


そーゆー経験があったのもあって少しだけ普通の人よりも耐性があったのかも知れない。


ただ、貞子は過去に俺をストーカーしていた女とは決定的に違うんだっていうことをこの時の俺に知る由も無かった。