「なにしてんの」 いきなり声がして携帯を落としてしまった。 「あ、大丈夫かよ。ほら」 わたしの目の前でしゃがみ携帯を手に取り その画面の中を見て、これ…とつぶやかれた。 「あの時撮ってたやつか 綺麗だったよなあの時の桜」 「う、うん。ありがとう」 手渡された携帯がほんのり温かく感じた。 「あの時は、その…ごめん。変なこと言って」 「え、あ、うん てか、こっちこそ逃げてごめん」 とてつもなく居心地の悪い空気が流れた。 お互い無言で風の音がすごく大きく聞こえる。