「梨津、いよいよだね」 最終競技がいま始まろうとしている。 一番を走る柚葉と最後を走るわたし。 じゃあ行ってくると今までにない 真剣な目をして バトンをギュッと握って柚葉は スタートラインに立った。 「位置について…!」 ピストルの音と共に戦いは始まった。 柚葉は一番にバトンを受け渡したが バトンが次から次へと受け渡されるうちに 迫ってくる後ろとの距離は縮まり やがて追い越される。