「宰我(さいが)さんどうぞ」 重い扉を開ける。 「今回も検査に異常なしだ」 眩しいぐらいに綺麗な白衣を着たおっさんは カルテになにか書きながら俺に言う。 月に一度この言葉を聞きにここに来る。 「明日から新学期だろ?お前も高三か… 俺が歳をとるわけだな」 明日から高校最後の一年が始まる。 無事に卒業できるかとかその後どうするとか 俺にはどうでもいい。 明日生きられてる保証なんてないから。