数週間後

「それで?今日はどちらへ?」

また天気の良い日、ミキと中庭に出る。


「7時から〇〇高校の人とデート」

「はぁ!?」


ミキが驚くのも無理はない。
今日ワタシがデートする相手は、ヒカルと同じ高校の人だから。


「その人と、真剣に、付き合おうと思う。
やっぱり、どこかで……やめな……きゃ……」


最後の方は震えて上手く言えなかった。
恐る恐る切り出した答え。
ずっと考えていたけど、口に出すのには勇気が必要だった。

今日会う人は、ずっと連絡をとっていた人。

【俺はシオリちゃんが好きだよ。】

ある日そんなことが送られてきた。

でも、ワタシに付き合おう、とか、関係を迫ることは一切しない人だった。

【別に俺は、連絡してくれるだけでいいんだ〜
それより、今日何かいいことあった?
聞かせて?】

ただ毎日、ワタシの話を嬉しそうに聞いているのが文面から伝わる、そんな人だった。
他の男の人と違うな、という思いがあって、会ってみたくなった。
この人となら、もう1度、ちゃんと恋が出来るんじゃないか。


「そっか。」


ミキはそれ以上何も言わなかった。

その日のデートは、とても楽しかった。
その人はワタシの嫌なことを何一つしなかったから。
それから何回もデートした。
部屋で2人きりの機会も何回も出来たけど、求めてくることもしなかった。


「このままシオリがやめられるなら、それでいいと思う」

ミキはそんな風に言った。

「うん、もう、やめる。」


ある日ワタシはミキに、久しぶりに心からの笑顔を見せた。

けれど、そんなワタシを嘲笑うかのようなことが起きた。


その日の夜、携帯の通知が来て開くと、ヒカルからだった。