はるなお先輩。

なんで、私を見たのですか。

私の勘違いですか。

青い空の下。

私はあなたを見ていましたーー。




「ねぇ、もあはさ、好きなひといないの?」

隣で外を見る、もあにたずねる。

「へぁっ!?」

顔が真っ赤だ。ふふふっ。

いるんだねぇ。

「んーん。いないもん…。」

長い睫毛で下に目をふせる。

「……。ユ、ユウヒ先輩…。」

もあは顔を赤らめて、ポツリと呟く。

本当に、ポツリ、と。

ユウヒ先輩っていう言葉は空気へと溶ける。

「ユッ、ユウヒ先輩っ!?」

「しっ!声、おっきーよ!」

「ごめん!」

そっかぁ。

ユウヒ先輩かぁぁぁ。

明るい髪色をしてて、かっこよくて、素敵なひとだよな。

うん、もあのタイプかもね。

「で、でも、彼女がいるんだ。」

え?っともあをみる。

もあは視線を遠い遠い空へ泳がせて、

薄く笑った。

「無理なのは分かってるんだけどね!」

ニッと笑うもあ。

そ、うだったんだ…。

「もう!暗くならないでよ!私は片想いでじゅうぶん、楽しいんだからね!」

もあの綺麗な顔がクシャリと笑う。

「うん。」

私はもあのせなかをゆっくりさすりながらうなづいた。

だって、笑うもあの頬には薄く涙が光ってたからーー。

〜〜

放課後。

もあは部活だから、1人で帰らないとな。

今日は日直だったから、私は日誌をかいて、鍵だけ閉めて教室をでる。



靴箱からでると、

「あっ!はるちゃんじゃんっ」

明るい声。

あ。

ユウヒ先輩だ。

もあの片想いの、ひとーーー。

ほんとだったんだ。

付き合ってるって。

ユウヒ先輩の横には綺麗な清楚な女の人。

大きなパッチリとした目に、長い睫毛。

細くて、白くてスタイル抜群。

サラサラの髪はハーフアップされてて…。

確か、吹奏楽の部長さんだっけな。

一年のはじめごろ、吹奏楽の仮入部でみた先輩だ。

まぁ、私の家は妹の世話をわたしがしなきゃだから部活になんて入ってる場合じゃないけど。

「今日さ、昼休みんときはるなおのことめっちゃ見てたでしょ!」

いつもの明るい笑顔で笑うユウヒ先輩。

「ち、ちがいます!」

みんなに疑われてるよ〜っ!

それにしても、ほんとに美人な人。

「あはは、この子…はるなおくんが好きなの?かわいいね。」

その先輩は柔らかな笑みを浮かべていう。

「わわ!や、やめてください!」

私、真っ赤だろな。

「いこっか、蓮華。」

れんか。

綺麗な名前だ。

「さよなら。」

2人が手を繋ぐのを私は見てた。

そしてーーー。

部活をするもあも、2人をみつめてた。