五時半。

あと少し、ドキドキ。

髪の毛は自分でやってみたけど、失敗したからおろすことにした。

サラサラにして。

浴衣はOKだし、お化粧もいい感じにしたし。

なっちゃん、可愛いって言ってくれたし。

あとは、約束の時間を待つべし!

〜〜

6時55分。

ピーンポーン。

チャイムがなった。

うがぁぁ。

来ちゃったよ、

私は下駄をはいて、外へ出る。

「は、はるなお先輩……。」

はるなお先輩も浴衣を来ており、青色のシンプルかつかっこいい浴衣だった。

「こんばんわ。」

はるなお先輩は少し、気まずそうに目線をそらし、言う。

「こ、こんばんわ!」

カラン、コロン、カラン

私は下駄の音を響かせて、歩く。

………………。

うん、気まずい。

「はるちゃん、可愛い。」

突然、はるなお先輩が言う。

え……っ。

「かわ、かわ……?可愛……い」

ほっぺがあつくなる。

「ふはっ、なにその反応!」

はるなお先輩はかおをクシャリとさせて笑う。

「はるなお先輩こそかっこいいです。」

……言ってしまった。

私がはるなお先輩をチラリと見ると、手で口元を隠していた。

「あはは、照れてます?」

「照れてないって!」

良かった。

なんとか普通に喋れた。

お祭りの屋台につくと、いろんなのがあった。

「はるちゃーん、なんか食べようか。」

「はい!」

わたあめに、いちごあめ、たまごせんべい、たこ焼き……

「先輩……食べすぎですよぉ……」

私がいうと、

「ははっごめんごめん!」

と、はるなお先輩が無邪気に笑った。

お腹いっぱいに、なった私たちは屋台からぬけだし、川沿いへと向かった。

ちょろちょろとカップルがみえる。

そういえば、はるなお先輩、いろんな女の子にチラチラ見られてたなぁ。

かっこいいもんな。

「ここらへんでい?」

「あ、はい……?」

なんだろうと首をかしげると、

はるなお先輩はカバンから手持ち花火を取り出した。

「わぁ!」

やった〜!

「しよっか!」

嬉しそうに笑うはるなお先輩。

こっちまで楽しくなる。


パチパチ。

花火は鮮やかに火花をちらす。

「おぉ〜、はるちゃん見てこれ、綺麗だよ。」

「ほ、ほんとですね……!」

うぅ……

今更だけど、

緊張してきたよぅ。

でも言わなきゃ。

もあも応援してくれてるし、

よし、言うぞ。

「は、はるなお先輩っ!」

……。

はるなお先輩は首をかしげる。

ふぅ……。

「あ、あの……私───「あっはるなお!」

わたしの声は誰かにかき消された。

顔を上げると、2人組の女のコが立っていた。

「覚えてるぅ?中学一緒だったじゃん!」

「あー、荻原さんと森川さん、」

「そぉそぉ!何、デート?」

2人の女の子とはるなお先輩は会話し始める。

せっかく、言えそうだったのに……。

また、言えないまま終わっちゃうんだろな。

ごめんね、もあ。

「じゃあねぇー!」

2人組は向こうへと去っていく。

「ごめん、なんだっけ?」

はるなお先輩は申し訳なさそうに首をかしげる。

「なんでも、ない、です……。」

私は立ち上がり、

「いもうと待ってるんで、そろそろ帰りましょう!」

と笑ってみせる。

「うん、……」

あーぁ。

これで終わりか……。

せめて、キスした理由くらいは聞きたかった。


「もうすぐでつきますね。」

「そうだね。」

はるなお先輩は家まで送ってくれる。

チャンスはもうここにしかないよね。

家の前に着くと、はるなお先輩は黙りこくってしまった。

……?

言うべき、だよね。

「あの!!」

私が切り出したとき、体がぐっと、持っていかれ……

え、?

なに、これ

私、

はるなお先輩に

抱きしめられて……

えっ!?

「ごめん、……」

顔があつい。

体中がヒリヒリする。

なんだか泣きたくなった。

はるなお先輩は私の体を離さず強く抱きしめる。

「はる、なおせん、ぱい?」

「はるちゃん、キスしてごめん。」

「え……?」






「はるちゃんがすきなんだ。」





その愛しい人の声は深く届いた。