ほら、笑顔。

ジリリリリっ

ん……?

ぱっちり。

は、は、は、8時!?!?

ぎゃああああ!

遅刻する!

私は制服に着替え、ダッシュでしたにおりる。

お弁当作らなきゃ。

がらっ!

リビングをあける。

「あ、はるちゃん、おはよう。」

え……?

ええ?

これ、なに。

夢?

ソファーにははるなお先輩、となっちゃんが……。

え!?!?

「は、はるなお先輩!?」

かっこいい。

いや、それどころじゃない!

「これ、今日のなっちゃんのお弁当のかわり。パン買ってきといたよ。」

「あ、はい。」

机の上には袋に入ったメロンパンとクロワッサンがあった。

「はるちゃんのぶんは、俺が学校の購買で買うから。」

はるなお先輩はなっちゃんの頭をサラサラとなでて、こっちにくる。

う、え?

なに、こ、れ。

「ごめん、急に。」

「な、なん、で……。」

やばい。

心臓バクバクしてる。

「今日ははるちゃんと学校行こうかなって思って、家にピンポンしにきたらなっちゃんが出てきてさ……。ごめん。」

私はブンブンと首をふる。

私ってば、なんでこんな時だけ寝坊したんだろ。

あぁー最悪!

私がうじうじ悩んでると、

「よっし!なっちゃんいってらっしゃい。」

と、はるなお先輩がなっちゃんに言った。

「うん!ばいばぁい!」

なっちゃんも笑顔でかえして、家をでた。

「さて、行こ。俺、チャリだから乗せたげる。」

「は、はい……。」

これは、夢じゃ、ない、よね?

家をでて、鍵をしめる。

門をでると、はるなお先輩は待っていた。

「ふぅ……。」

朝からすごいこと起きてる。

「はるちゃん、これ食べとき。朝ごはん食べてないだろ。」

そう言ってはるなお先輩は前みたいにハイチュウをくれた。

イチゴ味。

ふふ。

なんだか可愛い。

「何笑ってんの。」

はるなお先輩は照れたように笑う。

そして、自転車に乗った。

私も、そろり、と後ろに乗り込む。

重くない、かな。

臭くないかな。

服とかつかんでいいのかな。

いろんなことがグルグル頭にまわる。

「腰に手、まわしといて。」

はるなお先輩はそう言った。

え。

え!

嘘でしょう?

いいのかな。

「は、はい……。」

……っ。

私はおそるおそる手を回す。

ドキン、ドキン……!

心臓の鼓動がはやくなる。

はるなお先輩の体温は熱いような気がした。

筋肉質なのにスラッとしてるなんて、すごいや。

さすがだな。

かっこいい。

私がそんなことを思っていると、はるなお先輩は静かに

「じゃあ、出発します。」

といった。

「はい!」

自転車はビュンビュン進む。

周りのひとの目は少し気になったけれど、私ははるなお先輩に寄り添うように後ろに乗っていた。



いつまでも、この時間が続けばいいと、


願いながら─────。