「あ、ごめん!つい…!」

真っ赤になりながらはるなお先輩は体をはなす。

ぶんっとくびをふる。

顔があつい。

触れられたとこも。

「はるちゃん、怒ってる?」

「怒ってないです!」

パタパタと手で顔をあおぐ。

ちょっぴり、嬉しかった。

そのときーー。

「あっ、やっとみっけた!」

と、女の子の声がした。

え?とふりかえると、

「蘭……。」

らんちゃん、ってだれ?

はるなお先輩は目を細め、少し怒ったような目でランというひとをみた。

可愛い人だな。

真っ黒なつややかな髪は肩できりそろえられて。

小柄で華奢なからだ。

ほんとに女の子!って感じだ。

あの制服は、鈴聖高校の制服。

レベルがたかくて、かわいい子がおおいんだよね。

その子はたたっと可愛らしく駆け寄ってきて、

私にペコリと会釈した。

「ランね、はるなおくんに会いに来たんだよ。もう一度、付き合って欲しくて。」

どくん……。

もう一度……って?

それは、つまり。

昔にふたりはーーー。

「ラン、いまさら何言ってんだ。」

はるなお先輩の顔はひどく哀しそうだった。

今すぐ抱きしめてあげたい。

はるなお先輩は、私の、手を後ろでそっと、握った。

どきり。

ギュウ、と強くにぎられる。

「ラン、帰ってくれないか。」

「なんで?…この子、彼女?」

ランさんは、強く私をみる。

「あ、の、違います。……私達これからキャンドルライトに参加しなきゃなので、かえっていただけませんか。」

はるなお先輩の手を柔らかく握りながら、はなす。

「ふぅん、まぁいいけど。」

「ラン、おれはよりを戻すつもりなんて一切ない。今、ちゃんと好きな人がいるんだ。」

ランさんはチッとかるく舌打ちをすると、

「あんた、……はる、だっけ。覚えときな。」

ギロリ、と睨まれびくりと体が固まる。

「じゃーね。」

ランさんはそのままどこかへ行ってしまった。

「ごめん、ほんとごめん…。」

はるなお先輩。

大丈夫です。

あやまらないでください。

私ははるなお先輩に近寄った。

そして、そっと肩にてをまわした。

「はる、ちゃ……。」

「はるなお先輩がかなしいと、私もかなしいです…!…お話、ききます。」

私は静かにまっすぐはるなお先輩を見た。

これからはるなお先輩のどんなことを知ろうと、必ずあなたを好きでいる。

そう決めたのだから。