ざわざわ。
「はるなお先輩のやつ、デマなんだって〜。」「えっ、そうなの?」「良かったぁ!」
なんて言葉も通りすがりにチラチラと聞こえる。
はるなお先輩、いないかな。
一緒にまわる、って言ったのに。
時間は3時。
あと、3時間でキャンドルライトの時間が始まる。
キャンドルライトっていうのは、生徒一人一人がもつ、キャンドルを灯して願い事をするっていう企画なんだけど…。
まぁ、いわゆるあれもあるよね。
恋愛的なやつ。
男女2人でみると、2人は一緒にいられるんだってさ。
はるなお先輩……。
どこなのーーーードンっっ
誰かにぶつかりバタッとたおれる。
ここは屋台がない人通りの少ない場所だから、よかった。
私はそっと顔をあげて、「ごめんなさい!」
とーーーーーー。
グイっ!
うわ!?
えっ、なんなのー!?
急すぎてわかんないっ!
でも、顔をあげればわかる。
ふわふわのミルクティー色の髪。
はるなお先輩。
はるなお先輩。
ねぇ。
この手から想いが伝わればいいのに。
好き。
好きです。
「ごめん、ぶつかって。あと、急に走り出して。」
ハァハァと息を乱し肩を揺らすはるなお先輩。
「い、いえ……。」
疲れた。
「なんか、ほかの女の子がいて。俺らのほう見てたから逃げてきた。」
あー、なるほどね。
「ね、屋上行こ?」
ニコリといつもの優しい笑顔。
いつもより胸が高鳴った。
〜
ガチャリ。
「どーぞ。」
はるなお先輩はドアをあけて、私を先にいれてくれた。
ペコッとしてから足をふみいれる。
「3時くらいって、なんか気持ちいいですね〜」
夏の終わりをつげた風がフワフワとふいて、私の頬をなでる。
「ごめんなぁ、はるちゃん。」
え?、とふりかえると。
どきん……
苦しいような、切ない淡い表情をしたはるなお先輩がいた。
「え、っと…。」
どくん、どくん。
これは、どういう表情なの?
「はるちゃんの、さ、好きな人って誰…?」
びくっ。
え、と……。
どうしよう。
「なんで、そんなこと聞くんですか?」
「わかんないんだ。ごめん、無理やり」
ブンブンと、首をふる。
「好きな人、います。片思いです。」
目を、ふせて、下を向く私。
何か変だ。
この感じはな、に?
はるなお先輩は慌てたように喋る。
「さっきごめん。写真とられて。俺、はるちゃんにいっぱいごめんって言わないといけないなぁ。嘘ついてた、し、さっきだってかばってもらって。」
「はるなお先輩!」
1人でしゃべるはるなお先輩を私がとめた。
「いま、はるなお先輩が想っているのは誰ですか?」
まっすぐみつめる。
はるなお先輩の瞳は1ミリたりとも揺れなかった。
澄み渡る、まっすぐとしたビー玉みたいな瞳。
「……。あ、……。」
はるなお先輩は困った顔をした。
「ご、ごめんなさい、困らせるようなこと聞いて……。私にとってはるなお先輩はとても素敵な……先輩です。」
笑った。
笑えてるかな?
今すぐ逃げ出したい。
期待してたわたしが馬鹿みたい。
ナオト先輩がはるなおはレンカが好きじゃないっていうからうぬぼれてしまったんだ。
「はるちゃん!」
グイ、とひっぱられる。
トン。
ほおが優しく、あたった。
ドキン。
あたたかい落ち着く体温。
え…?
私、……
はるなお先輩に抱きしめられてーー。
「うん。俺にとってもはるちゃんはステキなステキな後輩だ。」
そう、言った。
耳には遠く遠くそう聞こえた。
「はるなお先輩のやつ、デマなんだって〜。」「えっ、そうなの?」「良かったぁ!」
なんて言葉も通りすがりにチラチラと聞こえる。
はるなお先輩、いないかな。
一緒にまわる、って言ったのに。
時間は3時。
あと、3時間でキャンドルライトの時間が始まる。
キャンドルライトっていうのは、生徒一人一人がもつ、キャンドルを灯して願い事をするっていう企画なんだけど…。
まぁ、いわゆるあれもあるよね。
恋愛的なやつ。
男女2人でみると、2人は一緒にいられるんだってさ。
はるなお先輩……。
どこなのーーーードンっっ
誰かにぶつかりバタッとたおれる。
ここは屋台がない人通りの少ない場所だから、よかった。
私はそっと顔をあげて、「ごめんなさい!」
とーーーーーー。
グイっ!
うわ!?
えっ、なんなのー!?
急すぎてわかんないっ!
でも、顔をあげればわかる。
ふわふわのミルクティー色の髪。
はるなお先輩。
はるなお先輩。
ねぇ。
この手から想いが伝わればいいのに。
好き。
好きです。
「ごめん、ぶつかって。あと、急に走り出して。」
ハァハァと息を乱し肩を揺らすはるなお先輩。
「い、いえ……。」
疲れた。
「なんか、ほかの女の子がいて。俺らのほう見てたから逃げてきた。」
あー、なるほどね。
「ね、屋上行こ?」
ニコリといつもの優しい笑顔。
いつもより胸が高鳴った。
〜
ガチャリ。
「どーぞ。」
はるなお先輩はドアをあけて、私を先にいれてくれた。
ペコッとしてから足をふみいれる。
「3時くらいって、なんか気持ちいいですね〜」
夏の終わりをつげた風がフワフワとふいて、私の頬をなでる。
「ごめんなぁ、はるちゃん。」
え?、とふりかえると。
どきん……
苦しいような、切ない淡い表情をしたはるなお先輩がいた。
「え、っと…。」
どくん、どくん。
これは、どういう表情なの?
「はるちゃんの、さ、好きな人って誰…?」
びくっ。
え、と……。
どうしよう。
「なんで、そんなこと聞くんですか?」
「わかんないんだ。ごめん、無理やり」
ブンブンと、首をふる。
「好きな人、います。片思いです。」
目を、ふせて、下を向く私。
何か変だ。
この感じはな、に?
はるなお先輩は慌てたように喋る。
「さっきごめん。写真とられて。俺、はるちゃんにいっぱいごめんって言わないといけないなぁ。嘘ついてた、し、さっきだってかばってもらって。」
「はるなお先輩!」
1人でしゃべるはるなお先輩を私がとめた。
「いま、はるなお先輩が想っているのは誰ですか?」
まっすぐみつめる。
はるなお先輩の瞳は1ミリたりとも揺れなかった。
澄み渡る、まっすぐとしたビー玉みたいな瞳。
「……。あ、……。」
はるなお先輩は困った顔をした。
「ご、ごめんなさい、困らせるようなこと聞いて……。私にとってはるなお先輩はとても素敵な……先輩です。」
笑った。
笑えてるかな?
今すぐ逃げ出したい。
期待してたわたしが馬鹿みたい。
ナオト先輩がはるなおはレンカが好きじゃないっていうからうぬぼれてしまったんだ。
「はるちゃん!」
グイ、とひっぱられる。
トン。
ほおが優しく、あたった。
ドキン。
あたたかい落ち着く体温。
え…?
私、……
はるなお先輩に抱きしめられてーー。
「うん。俺にとってもはるちゃんはステキなステキな後輩だ。」
そう、言った。
耳には遠く遠くそう聞こえた。

