すると、そこの近くにももかちゃんがその写真を配っていた。

それを見つけた私たちはそこに駆け寄る。

「それ、かえして。」

はるなお先輩に見つめられたももかちゃんは顔を赤くして渡す。

結構な量の写真。

「なんのためなの、これ。」

「ご、ごめんなさい…。」

ももかちゃんは下を向いた。

なんで……。

「おい、はるなお!これなんだよ?」

ユウヒ先輩、レン先輩やらがこっちにかけてきた。

「ごめんなさい!私がお化け屋敷で幽霊役になってたらそこを通ったはるなお先輩にびっくりしてこけて…。それではるなお先輩が助けてくれたんです。」

これで、いいよね?

「嘘つきはるちゃんのばか。」

はるなお先輩は少し怒った顔をして、

「君、名前、なんていうの?」

とももかちゃんに聞く。

「田所 百華、です。」

ピリリとした空気。

なんかやだな。

「これ、さ、全部集めてきてくれる?はるちゃんの迷惑になるから。」

「は、はい!」

ももかちゃんは怯えてタタッとかけていった。

「ごめん、はるちゃん。俺が抱きついたせいだ。」

ブンッと大きく首を振る。

「あ、わ、私…迷惑なんかじゃないです…!」

そう言って私はその場からかけていく。


タタタタッ

「はぁっ、はぁっ。」

この前掃除した中庭までくる。

なんかわかんないけど、涙がこぼれた。

「ふっ…く、うぅ…っ。」

守ってくれたはるなお先輩。

なんで、そんなに怒るの?

ねぇ、

もしかして、レンカ先輩に誤解されるのが嫌だから?

レンカ先輩に見られたら、はるなお先輩と私が付き合ってる、みたいになっちゃうから?

私と付き合ってるって思われるのが嫌だから?

ドクン…ドクン…。

もうわかんないよ。

守ってくれたのに。

私が嫌な思いするからって言ってくれたのに。

そんなの、全然、嫌じゃなかった。

だって、はるなお先輩が好きだもん。

ざっ。

足音がした。

「わっ、ナオト先輩!?」

びっくりした。

「大丈夫か?」

前髪がぴょこんっと結ばれてて可愛い。

「はい、どーぞー!」

ミルクティーだ。

「ありがとうございます…。」

はるなお先輩とは、ちょっと性格が違うかな?

はるなお先輩のもっとテンションを上げたバージョン、みたいな。

「好き、なんだ?クスッ」

ニコニコと笑うナオト先輩。

「は、はい、内緒ですよ?」

「うん、分かってるって!」

そして、ナオト先輩は優しく微笑んで、

「気にすることないよ。はるなおは、ただはるちゃんを守りたかったんだと、思うけど?レンカのこととか、そんなん考えなくていーの!」

と言った。

「レンカ先輩のこと、知ってたんですか?」

「んー?まぁ、俺とはるなおとレンカは幼馴染だからねぇ〜。」

そ、そうなんだ…。

「でも、安心してよ?いま、はるなおの好きな人はレンカじゃない、から。」

パチンっとウインクをするナオト先輩。

あはは、かっこいいや。

「ありがとうございました!」

「どういたしましてっ!でも、俺らのグループの奴ら、全員、はるちゃんが誰を好きか知ってるよん〜。またねぇ」

のんきに向こうへ歩いていくナオト先輩。

え…。

ええええ!

でも、ちょっと安心したなぁ。

会ったら逃げたこと謝らなきゃね。