ほら、笑顔。

「あ、はるちゃん。こんちわ。」

いつもの挨拶。

「こ、こんにちわ!」

私は横に座り、お弁当を置く。

チラリ。

見てみるけど、はるなお先輩はメロンパンに一生懸命。

かわいいな、ふふ。

「昨日は、なにか…あったんですか?」

どきん、どきん…。

「ん?んと、ちょっと、ね。」

困った顔。

そんな顔させたいわけじゃないのに。

「レンカ先輩といましたよね?」

そう聞くと、苦笑して

「そう、だよ。ごめんね?何も言わずにどっかいってしまって…。」

ぶんぶんと首をふる。

「大丈夫です!さぁ、食べましょう!」

ニコッと笑ってみせると、はるなお先輩も安心したような笑みを浮かべる。

パカリとお弁当のふたをあけると、

「わ、おいしそ!」

といつもの笑顔。

「ウインナーもーらいっと。」

「あははっ!」

よかった。

はるなお先輩は何も変わってなかった。

これからもこうやって食べれて、喋れるんだよね?

「レンちゃんは、ユウヒと付き合ってんだよ。」

「あ…、はい。」

どうしたんだろ?

急に。

「ユウヒのことは諦めた方が…。」

まだ、疑ってるんだ?

「ち、違いますって!!」

「ほんとに?ほんとのほんと?」

こくこくっと頷くと

「じゃあ、信じとこっと。」

と笑った。

「はるなお先輩こそ…。レンカ先輩ですよね…?」

おそる、おそるきいてみる。

「え〜?」

苦笑いを浮かべるはるなお先輩。

どくん。

やだな。

はるなお先輩は立ち上がって、フェンスに近づく。

私も追いかける。

さああ、と柔らかな風。

「仲直りしてる、よかった。」

そう言うはるなお先輩の横顔をチラリと盗みみる。

「やっぱり…。」

はるなお先輩はレンカ先輩が好きなんだよね。

「レンちゃん、笑ってる。」

そう言うはるなお先輩は清々しい柔らかな笑みを浮かべていた。