「なーんかさ、レンカ先輩とユウヒ先輩、喧嘩したらしいの。」

授業終わりの短い休み時間。

もあはそう言った。

悲しそうに、そして少し期待をからませた瞳で私をみた。

「ユウヒ先輩が女の子に告白されたのをレンカ先輩に言わなくて、レンカ先輩が泣いちゃったんだって。」

ドクン。

それって…。

昨日の、やつ?

レンカ先輩が泣いて、はるなお先輩が慰めてた。

私1人でご飯を食べた昨日の、あれのこと?

ケンカ、か。

「別れる、とかなってないかな。」

もあは窓の外を遠く遠くみた。

「もあは、別れたら嬉しい?」

「…うーん。どうだろね。私は2人を応援してるけど、私の恋も一歩進むわけだし、なんか複雑だなぁ。」

もあはニコッと笑う。

「私、どうしたらいいの…?」

「…だいじょうぶだよ。2人は別れたりなんかしない、はず。」

レンカ先輩とユウヒ先輩が別れるってことはもあにとって嬉しいことなのに。

私はちっとも嬉しくない。

こんなの矛盾してるや。

でも、どっちかしか幸せになれないってことだよね。

それなら、私は、もあのしあわせを願おうじゃないか。

いつも横で、微笑んでくれる素敵なもあの笑顔を見たいから。



だけど、そんな、私の願いは遠くとんでいってしまった。

〜〜

ガチャリ。

屋上のドアを、

いますように。

と願いながらあけるーーー。