今日もいるかな。

そうドキドキしながら私は屋上の扉をあける。

〜〜

ガチャリ。

シーン……

あれっ。

おかしいな、いつもはいるのに。

「はるなお先輩…!」

小さくかすかに呼んでみるけど、返事はない。

なんでだろう。

先生に怒られてるとか?

今日は友達とご飯を食べてるとか?

ただ遅いだけとか?

告白とか?

…。

レンカ先輩、とか。

嫌な考えばっかり、ぐるんぐるんと頭にまわって、泣きそう。

私はお弁当をそっと下において、フェンスに近づく。

さぁぁ…。

柔らかな風が私の髪をすべる。

「レンカ先輩…だ。」

レンカ先輩がいた。

いつもの場所で。

はるなお先輩と。

ドクン、ドクン…。

なんで、なんで。

1番、嫌なことなのに!

どうせなら 忘れてた! とかいって欲しかった。

レンカ先輩は泣いていた。

それをはるなお先輩は苦しそうな顔で横から背中をなでていた。

やだよ。

そんなのやだ。

最近、気づいたんだ。

終わりたくない。

私はみたくなくなって、お弁当の場所へ戻る。

パカリとふたをあける。

いつもなら、ここで、はるなお先輩がぱあっと嬉しそうに笑って

おいしそう。

って言ってくれるのに。

さみしい。

私は卵焼きをとると、口へはこんだ。

その日、私は一度もはるなお先輩とは喋れなかった。

あのとき、

お昼休みに何が起こったのかも知らずに。