悪夢から蛇

「授業中にちゃんと寝とかないから眠気がたまるんだよ」

 “授業は昼寝の時間同盟”を僕と二人で結成している健司が、裏切り者に対するような目付きで僕を見る。

最近の僕は授業中に一睡もしていないので、それを責めているのだ。

「ついに信彦も俺らの仲間入りか」

 “授業は勉強の時間同盟”を柚香と共に結成している光が、しみじみとした口調で言った。

「確かに起きてるけど……」

 起きているからといって勉強をしているとは限らない。

「最近変な夢を見るようになってきてさ、だからなるべく寝ないようにしてんだ」

「変な夢?」

 髪を神経質に撫で付けていた柚香が、ようやく会話に参加してきた。

「夢の中で死ぬんだ。病死も、事故も、自殺も、全部体験した」

「まぁ、たまにはそんな夢を見ることだってあるだろ」

 健司が軽く受け流す。

「たまにはな。でも、毎日だぞ? さすがにうんざりしてくるよ」

「……確かに変な夢だな。ちょっと不気味だし」

「きっと、それは何かの暗示なんだよ」

 柚香が弾んだ声でそんなことを言う。

「暗示?」

 何だか嫌な予感がしてきた。