「くっ……」

 夢から醒めたとたん、肺が空気を求めて騒ぎだした。

僕の周りは酸素でいっぱいのはずなのに、それをうまく吸い込むことができない。

 すぐそこにあるものが手に入らないもどかしさ。

調子に乗って水の深いところまで潜っていて、そこで酸素を使いきってしまい、地上に向かって必死でもがいている感じ。

 寒気が背中を走る。

窓を締め切り、羽毛布団にうずまっているのに、寒さに震えてしまうほど身体が冷えきっていた。

 布団を投げるようにして大雑把に折り畳み、電気ストーブの電源を点ける。

ジーッというよく分からない音をたてながらストーブは次第に赤くなり、熱を発し始めた。

真っ暗な部屋の中で赤い光だけが灯っているのは少し不気味だ。

 部屋の電気も点け、呼吸を整えながら気持ちを落ち着かせる。

 出来ることなら今見た夢など全て忘れてしまいたい。

しかし、夢は夢とは思えないほどはっきりと脳裏に焼き付いてしまっていた。

 夢を見たのは今日だけではない。

三ヶ月ほど前から毎日のように夢を見ている。

それも、決まって死ぬ夢だ。

所詮はただの夢だろうと思い、たいして気にしていなかったのだが、ここまで続くとさすがに気が滅入ってくる。