【短】オンシジウム


男と別れた君にスッと僕は近付いた。

それに気付いた君の頬が僅かに強張る。

何よ、とそっぽを向く君は少し拗ねたようだった。


「受け取ってください。」


事情を知らない参加者達が遠巻きに僕らの行方を見守っている。

呆然とする君から返事の言葉を聞くまでが、さっきの曲が終わる時間の更に何倍にも感じた。


僕の手に乗る黄色い花は、

___________…オンシジウム。


その花言葉は、長年に渡って花屋に勤める君なら分かるよね?

僕は不器用だから、言葉足らずだから、…ストレートに言葉にするのは苦手なんだ。

これが僕の精一杯。

物足りなさを感じさせてるのかもしれない、寂しい思いをさせてるのかもしれない、不安にだってさせただろう。

でも、やっぱり君が他の男といるのは嫌だった。

目の前で盛大なため息を漏らされる。

…やっぱり、今更だよね。

分かってた…、はずなのに胸が痛い。

顔をくしゃっとして頭を上げれば、君は困った様に笑っていた。