「頑張ったね…私。」

ギリギリのところで涙をこらえていたから、すぐに出てきてしまった。
次から次に溢れてくる。

苦しい…

本当は、今すぐに伝えたいこの気持ち。美桜にも、言いたい。

でも…
私は決めたんだ。

大事な人のために諦めることを選んだ。爽の事を想うのは今日で終わり。


明日からは、爽に...キミに出会う前の…まだ、恋を知らないあの時の私に戻るだけ。

でも、きっと、明日もキミを見ると胸が高鳴ってしまうと思う。

その時は、この気持ちを私だけの秘密にしよう。

私だけの宝箱にしまうの。

さっきまで溢れてきた、涙が少し止まってきた。

私は、目をつぶって、爽の顔を思い浮かべる。

太陽みたいな周りを暖かくする笑顔。
そんな笑顔が好きだった。
ちょっとの間だったけど、私に恋をさせてくれた。

明日からだってまだこの気持ちを消せないかもしれない。