「菜美…やっと見つけた」

やっぱり、爽の笑顔は反則だ。
ものすごく早く心臓が音を立てている。

「わ、私の方こそすごく探したんだからね!」

「2人で探し合うとか俺ら、変だなっ」

「だねっ!」

2人で笑い合った。
周りに人はいるけどそんなのお構いなしに。
しばらく笑って、私達は、空いていたベンチに座った。

「爽はなんで、私を探してたの…?」

私を探してたのに、理由があるはずだ。
それに、私の用件を先に言ってしまったら、聞けなくなってしまう。

「あー、えっと、俺のは…」

言いにくそうに言葉を濁す爽。

「なぁ、…菜美は好きな人いる?」

なんで、そんな事を聞いてくるのかわからない。
どうせ、いうんだし、私は正直に答えた。

「うん、いるよ。爽は?」

「俺もいるよ。」

その言葉に少しだけ胸が痛む。
やっぱり、いるよね…