私は、自然に視線を爽に向ける。
笑顔で接客している爽は、王子様の姿がとても様になっていた。
人気のある爽の王子様姿を女子達が放っておくはずがなくて、接客されている女の子たちを見て羨ましいと思う。

それと同時に、心がモヤモヤした。

私に気がつく様子はなく、女の子たちを接客していると、1人の女の子がつまづいて転けそうになった。

「あぶな──────っ」

そう声をかけるよりも先に爽がその子を抱きとめた。
「大丈夫?」そう声をかける爽の姿をただ呆然と立ち尽くして見ていた。
その子は恥ずかしそうに顔を赤らめて「ありがとうございます」と小さく言った。

その子は、顔も可愛くて、いかにも女の子らしくて、女の子の私でも守ってあげたくなるような子だった。