*王子と冴えないプリンセス*



「ここまできたら大丈夫かな」

ついたのは、誰もいない女子トイレ。
初めて来た場所だった。

「こんなとこにトイレあったんだね…」

「うん。ここのトイレ、あんまり知られてなくて、わりと穴場なんだ。

それより、仁菜ちゃん顔洗ったら?スッキリするよ!」

鏡を見れば、目が充血してた。

酷い顔…

水道を回して水を出す。


「冷た…」

冷水を顔に浴びて、少しスッキリした気がする…。

「仁菜ちゃん…少しはスッキリした?」

「うん…」

なんか、充血もマシになったし…

だから、瑠海ちゃんはトイレに連れてきたのか。


「あのね、私思ったんだけど。

本城さん…絶対なんかあると思う」


「え?」

でも、付き合ったってことは、本城さんの気持ちが雪峯先輩に向いたってことで…


ああ、考えるだけで苦しい。

「……でも、もしかしたらほんとに本城さん、好きになったのかもしれないじゃん。

もう、辛い…。考えたくない…」

このまま、本城さんのことなんか忘れたいよ。

バスで話すつもりだったけど

こんな気持ちで、話せる気もしないし…