*王子と冴えないプリンセス*



「え…?」

ひーくんのことで、あたしに言ってなかったこと…?

「私ね、仁菜ちゃんが神咲君に襲われる前から、知ってたんだ。

神咲君が、女の子を脅して襲ってたこと。

偶然聞いちゃったんだ…」


瑠海ちゃん…知ってたの?

そのことを、あたしよりも、先に…

「『誰かに言ったら、写真をばらまくぞ』って、写真を撮りながら笑う神咲君を見たんだけど…

すごく、怖かった。

表では、あんなに仁菜ちゃんと仲良くしてるのにって

すごく、仁菜ちゃんに言いたかった…

だけど

それでも言えなかった…


あんなに、純粋な気持ちで神咲君を想ってる仁菜ちゃんを見たら…」


瑠海ちゃんの切なげな声が、やけに耳に響いた。

それと同時に思ったのは、あたしとひーくんがデパートに行く日の放課後。

瑠海ちゃんがひーくんに素っ気ない返事をしていたのを思い出した。

だからか…って納得したのと同時に思ったのは

瑠海ちゃんは、あたしのために言わないでいてくれたんだって思った。