*王子と冴えないプリンセス*




誰にも会いたくない。

あたしは、初めて本城さんに連れられた空き教室に向かう。

思いついたのは、そこしかなかったから…。

扉をガラッと開けると

案の定誰も居なくて。

埃っぽい香りが鼻をついた。


なんだか、落ち着く…

「…っ…うぇ…ひっ…」


安心した瞬間、溢れる涙。

それと同時に、

本城さんにここでされたことを思い出す。

あんなに嫌いだったのに

その思いは

あたしをかばってくれたり

あたしのドジも笑って許してくれたり

ジュースを奢ってくれたり

コーヒー苦手な癖に、あたしに炭酸水をくれたり

たったそれだけで

好きになってしまった。