*王子と冴えないプリンセス*



「何見てんだよ」

あたしがじーっと見てしまっていたのか、鋭く睨まれる。

すごい気迫。

だけど、慣れているからか、全然怖くない。

「別に…」

「あ、そ。そーいやお母さん、友達と飲みに行くって。晩御飯は適当にカップ麺でも食べてってさ」

「分かった…」

「すごい辛気臭いツラしてんじゃん。中2の時も一回そんな顔してるときなかった?」

さほど興味が無さそうに呟くお姉ちゃん。
だけど、なんとなく思った。
ひーくんのことを言ってるのかな。

多分、そうだろうけど。

それにしても…意外にお姉ちゃんはあたしがそんな顔してるの見てたんだ…

「…うん。あったね」

「まぁ、別にお前がどうなろうとあたしは知らないけどさー、そーゆーツラされんの一番ムカツク」

少しイラつきを含んだ声でそう言われる。
だけど、こんな気分のときにそんな言い方されたら、結構心に刺さるもので。

グスッ

と、鼻の奥がツンとして、また泣きそうになる。

「あーうざいうざい。泣かないでくんない?あたし泣かれるの嫌いだから」

そう言われた時、溜まっていたものが溢れるように

気づけば、口が勝手に動いていた。


「別に泣いてないからっ!それにお姉ちゃんに関係ないじゃん!なんでそこまで言われなきゃなんないわけ!?」

言ってしまった…。

お姉ちゃん絶対怒るよね…。

そう思い、あたしは自分の部屋まで走った。

だけど、走っている時、お姉ちゃんの怒鳴り声は全然聞こえなくて。

少しビックリしながら、部屋に入った。