*王子と冴えないプリンセス*



「ははっ…残念だよ…仁菜は大事にしてきたんだけどなあ。まぁでも…見られたらもう仕方ないよねぇ」

悪魔のような顔でクスクスと笑い出すひーくん。

こんな彼、知らない。

あたしはこんな人を好きになったの?


グイッ…

手首を痛いくらいに握られる。

「来いよ」

そういってギロりとあたしを睨みつけると、力任せにあたしを教室に引っ張った。

あたしは、勇気を振り絞り、やっとのことで声を出した。

「…いたいよ!や、やめて!!」

「うるさい口だなぁ」

手で口を押さえられる。

うまく息ができない。

苦しい…苦しいよ…

あたしは、ひーくんに犯されちゃうの?

ひーくん…どうして。

あなただけは、信じていたのに…。


「お!大瀬戸さんじゃーん…今日は2人も出来ちゃうなんて、ついてるぅ!」

遠くでそんな声が聞こえた。

その時…

ガタガタっ!!

え…?

「おい!!待てやコラァ!」

さっきまで捕まっていた女の子が逃げた。

あの、悠という男子から。

「悠!バレたらやばいから早く追いかけろ!」


ひーくんは声を荒げてそういった。

その声が聞こえているか聞こえていないのか、悠は凄い勢いで追いかけていた。