*王子と冴えないプリンセス*



***

あの日から、二週間がたった。

普段とは変わらない学校生活。

もちろん、ひーくんとは、なんの進展もない。

唯一違うのは、ひーくんからもらったブレスレットを毎日学校につけて来てること。

それだけで、なんだかドキドキするんだ。

瑠海ちゃんは

「良かったね」

なんて、ブレスレットに対しては素っ気ない返事だけど…


その日の放課後。

あたしは1人、出し遅れていたノートを先生に出すため、廊下を歩いていた。

職員室に向かうため、普段使わない廊下を歩く。

すると…聞きなれた声が、使われていないはずの空き教室から聞こえてきた。

「もっと脚開けたら?撮れないんだけど」

ひーくんの…声?

な、なにしてるの…?

話し方とか…声とか、まるで別人みたい…

あたしは怖くなって、壁に背をつけた。

声だけしか聞こえないけど、怖くて、何が行われているかなんて、見られない。

「うぅ…っ。うっ…」

泣いてる女の子の声。

だけど、すごく息が辛そう…

なんとかしなきゃ。

だけど、あたしの足は、凍りついたようにうごかない。

「あーあー…こいつまじ使えねぇ」

ひーくんの声が、冷たく聞こえる。
すると、聞いたことのある声が聞こえた。

「お前大瀬戸いつヤるんだよ」

あ…た、し…?

しかも、この声…

前にデパートで声を掛けてきた…

「悠さぁ、その前にこの女なんとかしろよ」

あぁ…

ひーくんの、友達だっけ…

やるって…何をするつもりなの…?