*王子と冴えないプリンセス*



「うそ…」

あたしは、つい、あまりの光景に、言葉が漏れてしまった。


だって…


移動教室の時に、教科書を拾ってくれた綺麗な先輩が、後ろから本城さんに



抱きついているから。


「先輩…やめてください」

本城さんは、どしゃ降りの雨の中、傘もささずに立ち尽くしていた。


「ゆーまくん馬鹿だね。付き合ってるのになんでそんな他人行儀なの?」

「いつの話ですか?今はただの先輩と後輩。それ以上もそれ以下にもならない。もう別れてるんですから」

「そんなの…あたしが別れたって思わないとなんの意味にもならない」

すると、本城さんは力づくで先輩の腕を引きはがすと



今まで見たこともない程の殺気を漂わせながら


「失せろ」

といって、こっちに向かってきた。