右京はこんな醜態をさらしている律の事をジッと見ていた。


ここまで酔っ払って魂の抜けたような目で俺を見て微笑んでいる律を、可愛いと思ってしまう俺もかなりのいかれた野郎だ。
でも、俺を頼って俺を呼んでくれた。
俺はそれだけで嬉しい。


「う…ひょうさん?
なんで…ここ…に…いるんですか…?」


右京はさすがに呆れて鼻で笑った。


「律に呼ばれたんですけど」



「あ、そう…ですか…」


右京は律との会話はあきらめた。
何を言っても何を聞いても、明日には何も覚えていないのは明らかだ。
律のテーブルの上には空いたグラスが3つ置いてあった。
少しだけ残っているワインを見ると、白に赤に、もう一つは多分スパークリングだ。


何があったのか問いただすのは止めた。
きっと何かがあったのだろう…
こんなバカな飲み方をするくらいだから。


考えてみれば俺は律の事を何も知らない…



「律、帰るぞ」