右京が店に着くと、土曜日の夜ということで中は満席状態だった。
狭い店は薄暗く、中々律を捜し出すことができない。
奥まで入ろうとすると、右京は店員に呼び止められた。
「すみません、今、満席なので…」
右京はその若いお兄ちゃんの店員に困った顔をして聞いた。
「連れを捜してて。
女性で一人で飲んだくれている人っていないですか?」
その店員はすぐに反応した。
「一人いますけど、お連れの方ですか?」
「はい、迎えに来ました…
もしかして、寝てます?」
その店員は苦笑いをしたまま頷いた。
やっぱり…
右京はその店員から律のいる席まで案内された。
一番奥の二人掛けの丸テーブルで律は突っ伏して寝ていた。
右京は椅子を律の隣に持っていき、隣で小さい声で囁いた。
「律、起きろ~~~
律、起きて~~~」
突っ伏していた律は、無意識に右京の方へ顔を向けた。
「…う…ひょう…っさん…?」



