「もう、やめて下さい。
運転がおろそかになるじゃないですか」


右京はそう聞いただけで気分が悪くなりそうだ。
いつもは後部座席しか乗らない人間が、今日は頑張って助手席に乗っているのに。


「だって、ずっと俺の事無視してるだろ?」



「………」



「ほら」


律は前方を見たまま、右京に聞こえるような大きな声でこう言った。


「右京さん、明日には自分の机の上を綺麗に片付けてください。
秘書課は社長の部屋とつながっていて、必ず来客の人達の目に入る場所です。

右京さんは社長の第一秘書なんですから必ず机の上は綺麗にしておくこと。

分かりましたか?」



「…はい」



こうやって、俺は律の手のひらで踊らされる子犬になる…