「律は清花の秘書であって俺の秘書でもあるんだから」


律は右京の前まで行き、絶対に目をそらさずに言い放った。


「私はあなたなんかの秘書じゃありません。
自分の事は自分でやってもらいますから」


さすがの右京も言葉を失った。
気が強いのは分かっていたが迫力があり過ぎる。


しばらく右京は律の様子を見ていた。
自分のゴチャゴチャしている机の上を片付けもせずにそこでパソコンを開き、たまに隣の律をチラチラと見た。

さっきまでは頭の上が噴火しているように怒っていたのに、今の律は何だか大人しくなっている。
もう一度隣をチラッと見てみると、律は涙を溜めて必死に泣くまいとしていた。


これだ…
気が強い女は実は涙もろい。
そのギャップに男は騙されるんだ。


右京は隣の律を無視してパソコンを打つ手をやめなかった。


右京、お前は賢い男でいるんだぞ。
律の涙に騙されるな。



いや、もう、完全にやられてる…