右京は自分の部屋のベッドにとりあえず律を寝かした。
その間、乱雑に散らかっている部屋を少しだけ片づけた。
「右京、律さんに何があったの?」
清花は右京の部屋のドアを開けて、二人の様子を見ていた。
「知らない。
でも、新入社員の田中と飲んでたはずなんだけど」
「田中って、律さんの後に入った?」
「うん」
清花は要領の悪い弟を思いやりながらこう言った。
「一応、あなたは社長の弟なんだから、決して愚かな真似はしないこと。
でも、いい大人なんだし、好きなら好きでちゃんと真剣に考えなさい」
「…分かってるよ」
右京は清花に顔も向けずにそう答えた。
「明日の日曜日は、私と優花は朝から用があって出かけるから、律さんの事よろしくね」
右京は清花が出て行ったのを確かめると、小さくため息をついた。
真剣に考える?
真剣に考えなくても分かってる。
俺は律を必ず自分のものにする…



