右京は精算をすませると、律を担ぎながらまたタクシーに乗り込んだ。


「もしもし、清花、ごめん、頼みたい事があるんだけど」


右京は律を自分の家へ連れて帰ることにした。
今の律は自分の住所も思い出せないし、何せ熟睡のど真ん中にいる。
清花の方から律の親には上手に事情を説明してもらうことにした。

タクシーの中、律は右京にもたれて気持ちよさそうに寝ている。
右京は自分の近くにもっと引き寄せて、律の柔らかい細い肩をきつく抱きしめた。


「うん…めい…なんて…」


右京は律の可愛い寝言を、耳を澄ませて聞いていた。


「かみ…さま…の、バカ…」


運命? 神様?
こいつ、何の夢を見てるんだ?


「お…つ…げ…」


お告げ??
キリン君に宗教かなんか勧誘されたのか?


「お…つげなんて…くそ…くらえ…」


お告げなんてくそくらえ??


「う…ひょうさん、うひょう…さん」


右京さん、右京さん??


アルコールで脳がやられてしまったのかもしれない…