自己中でも構わない。
誰かを傷つけても、もう、花の隣を譲りたくない。

「吉永さんが好きだ。待たせてごめん。彼女とはきちんと別れる」


夜道で一人、携帯に向かって叫んだ。

ふと、視線を感じて顔をあげると、そこに香がいた。

「ハンカチ、忘れてたから」

「またあとでかけ直すね…」

朝比奈は携帯を切ると、香の元に駆け寄り、頭をさげた。

「ごめん。もうそばにいてやれない。別れてくれ」