姉が変わってから、逃げるように前から好意を寄せていた従兄弟の圭介に、梓は執着した。

梓は無理に圭介を求めなかった。

だが、
圭介には理想を求めた。
圭介の涼太への想いを放棄させようと、梓はやっきになっていた。

「けー兄ちゃんは、変わらないよね?」

布団の中でそっと梓は呟いた。

「けー兄ちゃんは変わらない。変わってない。変えさせない」

目を爛々と輝かせて、梓は自分の親指の爪を噛んだ。