「やっぱ、女子ってすぐ恋愛の話になるでしょ?それで彼氏いる?とか話になるじゃん。あたしいっつもそこでね〝 野球ばかのイケメンでカッコいい彼氏いるよ〜 〟って言うんだよ。」



本当に野球ばかだし、イケメンでカッコいいんだもんっ。


あたしにとって、もったいないくらいの自慢の彼氏なんだもん。



「それでね、碧の写真見せるの!碧と中3の春休みに行ったあの海で撮った写真〜。みんなカッコいい!って言ってくれて嬉しいんだけどさ、少し嫌な時もあるな。嫉妬しちゃうもん、」



将来の夢を言い合ったあの海。


碧の隣で碧を支えること、碧のお嫁さんになって碧の赤ちゃんを産むこと…


あたしはこのことを願いながら毎日を過ごしているよ?


空もそうだけど、この願いにも助けられてる。


碧も覚えていてくれてるのかな…?



「あ、あと、指輪も見せびらかすんだよ〜。毎日肌身離さず付けてるもん!…あ、部活の時は外すんだけどね。でも、ポケットの中に入れてる。」



ほら〜って首元にあるチェーンに通した指輪を碧に向けるとともに、碧の顔を見た。


すると、なんか目がピクピクと動いた気がした。



「ん?…碧?」



え…?

目が覚めたの…??


あたしが戸惑いながら碧を見ていると、どんどん碧の口元がニヤリとした形になった。


そして目を開けて、いつもの笑顔で笑いかけてきた。


いつもの笑顔っていうか、今の笑顔はいたずらをしたときの笑顔。


もしかして…

もしかして、本当はもうとっくに目は覚めていて、あたしの言葉を聞いてたの?


あたしはずっと碧の目を見て話していたわけじゃなくって、時々碧を見るくらいだったから、全然碧の変化に気付かなくてもおかしくない。