「ねぇ…」
周りなんか見えずに、碧だけを見ていたあたしの肩に、誰かの手が触れた。
だれ…?
そう思って右肩を振り向くと、谷口くんが立っていた。
少し心のどこかで谷口くんかなって思ってた自分がいて、当たっていて、また心のどこかでやっぱりと思った。
「そんなに自分を責めなくてもいいと思うよ。…俺は、わがままだって言っていいと思う。遠距離してるだけでも我慢してることいっぱいあるだろ?碧にも、我慢しろとか言ったこと、しっかりと怒っておいたから。」
とても真剣な顔をして、しっかりと目を見て言う谷口くん。
碧、良い友達に出会ったね。
谷口くんは、初対面に近いあたしにこんな風に言ってくれて、友達を怒るなんて普通だったら躊躇しちゃうけど、注意してくれたんでしょ?
「俺、美波ちゃんの気持ち分かる気がする。会えなくて、不安だよな…、信じてても不安だよな。でもそれは碧も同じなんだよ。」
「……え…?」
「碧も、美波に会いてぇ〜!って口癖のように毎日言うんだぞ?クラスの人達に美波ちゃんの写真見せたり、指輪見せびらかしたり。美波ちゃんはイケメンでモテるのにそれを気付いてない碧のこと不安だと思うけど…」
「…うん。」
「碧だって、可愛くてモテるのにそれを気付いてない美波ちゃんのこと不安だと思うよ。指輪だって、誰かに取られたくないからあげたも当然だろ?俺のものだって、他のやつに思わせるためだよ。」
〝 1種の束縛だな 〟そんなこと言って笑う谷口くん。
谷口くんって、どこまでいい人なんだろう。

