タカラモノ ~同じ空の下で~



「部活が終わって、寮に帰ってる時だったらしいんだけどね。5人か6人で帰ってたみたいで、碧はその友達よりも少し前を走ってて。話をしていて、その友達の方を…後ろを、向いたみたいなの。そしたら、前から自転車が来てたみたいで……っ。その自転車の人もね、よそ見してたみたいで、それも急いでてすごく速いスピードで走ってたみたいでね、ぶつかった衝撃もすごく強かったみたいなの。碧も当たった子も。当たった子も手と足を骨折してて、碧も足を骨折してるの。」



涙を時々浮かべながら、碧を見つめて話してくれる琳ちゃん。


あたしも流れてしまいそうになる涙を、我慢する。


それから、「あと…」と続ける琳ちゃん。



「あとね、碧は、頭を少し打ってしまったみたいなの。軽い方だし、大丈夫だってお医者さんは言ってるんだけどね…。やっぱり、まだ意識戻ってくれないし。当たった子はもう意識戻ってるみたいなの。」


「……っ、そうだったんですか…。」


「あお、い……碧、今年の夏は頑張るからって言ってたじゃない…っ。」



碧のお母さんが、碧の頭をまた撫でて、そう言ってから碧の胸に顔を近付けて泣き出した。


そうだよ……


碧、今年は野球に集中するから戻ってこないんじゃなかったの?


会いたかったけど、本当はすごく応援してるんだよ。


あんなに色んなこと言っちゃったのは、寂しくて悲しかったのもあるけど、野球に負けた気がして悲しかった。


でも、怪我をしちゃだめじゃん……


会いたかったけれど、こんな形でなんて、本当にやだよ。