「なんで喧嘩したんだよ?」



拓磨以外の部員がそう聞いてきた。


出来れば、俺の口からは言いたくないな…


というか俺も、こんなに大きな喧嘩になるなんて思ってなかったんだけどな。



「なんか急に口喧嘩しだしたんだよな。あ、ほら、碧のやつ地元に今年は帰らないって決めただろ?そのせいで彼女ちゃんが怒ったんだよな?」


「あ〜、碧に会いたかったんだろ。」


「彼女ちゃん、ちっちゃくて寂しがり屋っぽいもんな。碧が守らないと、って感じの子だもんな〜。」



拓磨が勝手に話して、それに他の部員が口々に何か言ってる。



「美波ちゃん、だっけな?その碧の彼女の美波ちゃんが何を言ったか知んないけどよ、碧の言ってることも悪いと俺は思うけどな。」


「どういう意味だよ、それ。」



拓磨が不意に言った言葉が俺の心に突っかかって、すぐに聞き返した。


別に怒ったとかじゃなくて、俺自身あんなに怒った美波の意味が分からなかったから教えて欲しかったんだ。


いつもだったら、「そっか。」って美波なら言うと思ってたから。


その意味を拓磨は知ってそうだったから、すぐに聞いた。



「電話聞く限り、美波ちゃんは会いたいって言ったんだろ?それに対して最初は碧も会いたいって言ってたよな。でも、途中で、碧お前…我慢しろよって言っただろ?美波ちゃんは美波ちゃんなりに我慢はたくさんしてるはずだと思うよ。」



拓磨の言葉がごもっともすぎて、何も言い返せない。