そう言うと、あたしの手を離してくれた…碧。
離してって自分で言ったくせに、すんなり離れていった手を見て悲しくなってる自分がいる。
そんな自分が、本当に嫌だ…
「久しぶりだな。」
「うん。」
「元気にしてたか?俺な、ずっと夢だったチームに入って、プロ野球選手になれたんだぞ!」
「…知ってるよ。」
知ってる…だって見てるもん。
テレビでも、球場でも、たくさんたくさん見てるんだよ…?
碧のこと、1番に応援しているもん。
……そんなこと口が裂けても言えないけれど。
「そう…だよな。試合見に来てくれてるんだろ?この間のホームランのボールも美波が取ったって。」
「あ…まぁね。いらないから知り合いにあげたけど。」
谷口くん…碧に話したんだ。
ってことは、空海のことも碧に何かしら伝えてるってことだよね。
ホームランのボール…本当は部屋に飾ってる。
でも、あたしのことは嫌いになってほしくて…思ってもないことを言う。

