「なぁ、待てよ。美波だろ?」
早歩きで家に帰ろうとしていたのに、怪しい男の人かな?
その人に手を掴まれた。
この手……この声……
これが誰かなんてすぐに分かるのに、分からないふりをしようとしてしまう。
知らない……知らない人…この人はあたしの知らない人。
「は、離してくださいっ!」
「ほら、やっぱり美波じゃん。」
振りほどこうとした時に、腕を引っ張られて、手を掴んできた人と向かい合わせになった。
さっきまで帽子をしていたのに、その帽子はもう被っていなくて…
あたしがずっと昔から知ってる大好きな人の顔が、そこにはあった。
「な、何?…離して。」
「あ、ごめん。」

