『ごめんじゃねーよ。ふざけんな…っ。』
「しょうがないでしょ?もう冷めちゃったんだもん。碧には、もっといい人が現れるよ。ずっと応援してるからね。」
『は?応援なんかいらねーよ。もっといい人なんて現れねーよ。俺には美波しかいないって、何回言ったら伝わるんだよ。』
「伝わってるよ。でも、もうあたしには響かないの。もう終わっちゃったから。」
『なんだよ、それ…』
「ごめんね。ということで、今日からあたし達は他人。じゃあね。」
『は?ちょっ、ちょっと待てっ……』
一方的に切ってしまった電話。
何度も電話が掛かってきたし、メールも送られてきたけれど、一時したらもう何もこなくなった。
ごめんね…碧。
あたしは今でも変わらず碧のことを想っています。
でも今日からはもうその想いはしまう。
タンスの横の棚の鍵がついた場所に、碧との思い出のものを全部入れる。
そして、鍵をする……
すぐに開けてしまわないように、決意を揺らがないようにするために。
赤ちゃん…
これからは2人で頑張ろうね。
ママが、赤ちゃんのこと守るから、絶対に幸せにするからね。
お腹をさすりながら、そう誓う。
そして、これだけは外すことが出来なかった…ネックレスのチェーンにかけた指輪を掴んで。