「おい、藤川!何ボケっとしてんだ!」


「…あ、はいっ!」



監督に声をかけられて、美波のことばかりだった頭の中を野球に集中させる。



甲子園出場が決まった俺達野球部は、今までも練習がハードだったけれど、


もっともっとハードになった。



雨の日も、風が強い日も、真夏の暑い日々も、

いつもいつも練習を朝から夜遅くなるまでやっている。



今は夏休みだし、寮生活だし、本当に野球ばかりの日々。



野球の推薦だし、野球ばかって言われるほど野球ばっかりの俺だから、全然大丈夫だけど…


やっぱり、美波との電話の時間がなければ、こんなに頑張れていないと思う。